もうこれからは、何かをすごく好きになっても、それを作った人に「作ってくれてありがとう」と思うのをやめる。伝えるのもやめる。作品は天から降ってきたもので、その天からの賜り物だけを愛し、感謝の気持ちを何かしらの形として差し出すこともやめる。じゃないとただただ虚しいだけ。

 

考えてみると、大好きなバンドの彼らの曲を「好き」とか「最高」とか思うことはあっても「作ってくれてありがとう」と思うことはなかった。何故なら彼らは私が出会った時から「自分たちは好きなように音楽をやっているだけ」「また来てとは言わない。気が向いた時だけ聴きに来てくれればいい」「救われるのは勝手」と自分たちのスタンスを明確に表明してくれていた。それと同じように、これからは何に対しても「私が勝手に好きになっただけ」と思おう。勝手に好きになっただけだから、感謝の意を示す義理はない。その代わり、何も期待しないし、求めない。

 

というか、私は彼らの曲でなく、彼らのスタンスに先に惚れたんだ。惚れ惚れするほどかっこいい彼らが作る曲もまた、彼らと同じくらい惚れ惚れするほどかっこよかったのは、僥倖としか言いようがない。