The Greatest Show"man"を観ました

 

 予告の時点でThis is greatest show!(地上最強のショー!)と歌いながらタイトルがグレイテスト・ショウ「マン」なことが不思議だったが、その違和感がそのまま答えになった。サーカスを舞台にしたミュージカル映画かと単純に予想していたが、実際はP.T.バーナムという1800年代に実在した興行師の話だった。

(余談だが、このタイプの予告は実に巧妙だなと思う。嘘をついているわけじゃない。こちらが勝手に勘違いしただけ)

 

観ると決めた映画は予備知識なしで行くことにしているのでこの映画に伝記的な側面があることに気づかなかったのだが(「サーカス」という呼び名をバーナムが気に入るところでやっと気づいた)描かれているのが実在の人物だと思うと鑑賞中に感じていた細々としたストレスが概ね納得できた。実在のバーナムも当時世間で「フリークス」と侮蔑されるような人々を見世物にし、成功を求めるあまり破産したそうだが、そんな人物が人間的に優れているわけないのである。彼は終始そういう人物として意図的に描かれていたし、実在しているからこそ、そこにフィクションを加えることはできなかったんだろう。しかもこれはショウマンとしてのバーナムを描くのが目的で、彼の人としての成長や人としての素晴らしさを描く映画ではない。安易に彼を「善人」にしてハッピーエンドにはできない。観る側に多少のストレスが残るのは当然で、制作側もそれはわかっていると思う。

 

ただそういったバーナムに対する制作側のアンサーはきちんと劇中に表れている。この映画でおそらく最も有名なThis is meという歌は、他でもないバーナムの行動をきっかけにスタートする。団員に対するバーナムの態度が間違っていると観客に伝われば、あの映画においてはそれで十分かなと思う。